北方領土、進む「ロシア化」 インフラ整備や“祖国教育”

北方領土、進む「ロシア化」 インフラ整備や“祖国教育”

 

北方領土、進む「ロシア化」 インフラ整備や“祖国教育”…色丹、択捉ルポ

ロシア風の建物が並ぶ沿岸部。工場などの整備が進む=7月5日、国後島

 戦後74年の今なおロシアの占拠が続く北方領土。7月上旬に元島民ら64人が参加した「ビザなし交流」に同行し、色丹島と択捉島を1日ずつ訪問した。安倍晋三首相とプーチン大統領による領土交渉が行き詰まる中、着実に進む「ロシア化」の既成事実をまざまざと見せつけられた。

【写真】島中心部の巨大壁画には「シコタンロシアの始まり」

北方四島は面積5千平方キロで福岡県とほぼ同じ広さ。本土最東端の北海道根室市から旅客船に揺られること約3時間、いったん国後島沖に停泊した。

ここではパスポートや査証(ビザ)を使わない「出入域手続き」があった。ロシア国境警備隊が船内に乗り込み、事前に提出していた書類と本人を照合していった。

「ロシア領」と認めることにならないようにする外交的な配慮だが「事実上の入国審査」との声もある。地図や北方領土の資料の持ち込みは禁止され、軍関連施設の撮影は厳禁。船にはロシア国旗が高々と掲げられていた。

北方領土、進む「ロシア化」 インフラ整備や“祖国教育”…色丹、択捉ルポ

地元の水産加工会社の新工場建設に汗を流す労働者=7月6日、色丹島

「よく聞かれるけど、北朝鮮の労働者はいないから」

 手続きを終え、色丹島に上陸した。道路は未舗装。土ぼこりが舞う。その傍らで、工場と岸壁の建設が進んでいた。

アジア系の労働者が機材を運んでいた。「よく聞かれるけど、北朝鮮の労働者はいないから」。工場責任者の唐突な説明に驚いた。北方領土最大企業「ギドロストロイ」が手掛ける新水産加工場。サバやイワシなどの缶詰を製造し、生産量は1日約千トン。ロシア最大規模という。

400人を雇用し、うち半分は国内外からの出稼ぎ労働者だ。給料は月8万~9万ルーブル(約14万円前後)。責任者は「本土平均よりかなり高い」と胸を張った。ウクライナなどからの移民も増えているという。

小中高一貫校を見学した。昨年新設されたばかりの3階建て。195人が在籍する。校長は生徒について「いったん本土に進学するけど、島に戻ってくる」と話した。

教室にはプーチン氏の写真が飾られ、世界地図にある北方領土の表記はもちろん「ロシア領」。22人の先生の8割は地元出身。日本の地理や歴史を教えているのか尋ねると、校長は笑みを浮かべながら首を横に振った。

島の中心部には、子どもたちが島の風景を描いた巨大な壁画が掲げられ、こう記されていた。「シコタン ロシアの始まり」

漁業権とか色々関係してくるのだから政府にはもっとしっかりしてもらいたいものです。

ご案内カテゴリの最新記事